seasons.(シーズンズ)【完】
――あのねあっくん。

私あっくんが好きだよ。

柔らかい笑顔、思いやりのある心、優しさゆえに見せてくれた怒りさえも愛しいくらいに。

いつしか私にとってあなたは掛け替えの無い存在になっていた。


「私もあっくんのことが好き」


でも私、夏枝ちゃんを裏切ることだけはしたくないの。

夏枝ちゃんも私にとって掛け替えの無い存在だから……。


「……けど、ごめんなさい」


何度でも謝るからどうか不器用な私を許して。


「……そうですか」


今視線を上げてあっくんを見たらどんな顔をしているのだろう?

そう考えると辛くて悲しくて、居た堪れなくなった私は駆け足でその場から逃げた。

そうして洋風に展示された誰もいない自分のクラスに身を潜め、


「……ごめッ……ごめんなさ、ぃ……あっくん……っ」


自分の不甲斐無さに声を殺して泣いた。

愛情と友情。私は後者選びました。

ねえ、夏枝ちゃん。

私、夏枝ちゃんとこれからも友達でいられるよね?
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