seasons.(シーズンズ)【完】
*夏枝side 


クラスの発表も見届けてあげれたということで、あたし達は迫りつつあるフリーステージに向けて準備を進めていた。


「山崎さんやっぱり可愛いね~」

「そりゃアタシは何着たって似合うからね。木村さん分かってんじゃん」


下はそのまま制服のスカート。

上は私服をそれぞれ持参。

みんな赤を貴重としたTシャツで合わせたため、統一感も有り、結構サマになっている。


「本番前ってほんと緊張するよね。喉乾いてきちゃった」


窪井さんの言う通り、改まってみるとやけに心臓がうるさい。

人前に出ることでこんなに緊張するなんて滅多にないのに……さすがのあたしも今回は自重しているのかしらね。

せめて少しでも緊張を和らげられるようにと、ポケットに忍ばせたあの時のお守りを握りしめる。

恋愛運のだけど、この際だから駄目元で活用しなきゃ。

困った時の神頼みってやつよ。


「あたしトイレ行ってくるわね」

「いってら~」


緊張がほぐれてきたところで、本番前にコンディションを整えるべく更衣室として使っていた家庭科室を出る。
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