seasons.(シーズンズ)【完】
*
直感で向かった3Dの教室。
ヨーロッパを意識した空間の隅っこで、冬香は発表衣装のまま体を折りたたんでいた。
ゆっくり近付けば気配に気付いたのかこちらを見て、
「なつ、ぇ……ちゃん……ど、ぅして?」
「アンタを探しに来たんでしょうが」
整った顔は涙でぐしょぐしょ。
目線を合わすため、あたしは冬香と向き合う形でしゃがみこむ。
「秋人くんに告られたんだって?」
率直に訪ねると、冬香は見開いた目からまた涙を零した。
「しかもフッたんですって?罰当たりなことしてくれるわ」
冬香はロクに目も合わせず体を強張らせている。
いつかの無愛想な冬香を思い出すから、そういうのはやめてほしいものだわ。
「アンタさ、秋人くんのこと好きなんでしょ?ま、冬香が惚れちゃうのもしょうがないわよね。秋人くんはこの芳賀夏枝が見込んだ男だもの。あれは好きにならない女の方がおかしいわ」
それなのに……、
「どうしてフッたのよ?」
訊ねるも冬香は口をつぐんだまま。
またこのパターンか、と諦めてこちらから話を進めようとしたら、鼻を啜る音のあとに冬香が喋りだした。
「……私、夏枝ちゃんを裏切りたくなかった」
「何その言い方。あたしが惨めみたいじゃない」
直感で向かった3Dの教室。
ヨーロッパを意識した空間の隅っこで、冬香は発表衣装のまま体を折りたたんでいた。
ゆっくり近付けば気配に気付いたのかこちらを見て、
「なつ、ぇ……ちゃん……ど、ぅして?」
「アンタを探しに来たんでしょうが」
整った顔は涙でぐしょぐしょ。
目線を合わすため、あたしは冬香と向き合う形でしゃがみこむ。
「秋人くんに告られたんだって?」
率直に訪ねると、冬香は見開いた目からまた涙を零した。
「しかもフッたんですって?罰当たりなことしてくれるわ」
冬香はロクに目も合わせず体を強張らせている。
いつかの無愛想な冬香を思い出すから、そういうのはやめてほしいものだわ。
「アンタさ、秋人くんのこと好きなんでしょ?ま、冬香が惚れちゃうのもしょうがないわよね。秋人くんはこの芳賀夏枝が見込んだ男だもの。あれは好きにならない女の方がおかしいわ」
それなのに……、
「どうしてフッたのよ?」
訊ねるも冬香は口をつぐんだまま。
またこのパターンか、と諦めてこちらから話を進めようとしたら、鼻を啜る音のあとに冬香が喋りだした。
「……私、夏枝ちゃんを裏切りたくなかった」
「何その言い方。あたしが惨めみたいじゃない」