seasons.(シーズンズ)【完】
『どちらもあたしにとって大切な人です。だからあたしは二人の幸せを願いました。後悔はしてません。それがあたしにとっての幸せだと思いたいから』


後悔という言葉。

思うではなく思いたい。

意味深な言い回しだった。


『二人がこれからも幸せでありますように。それではありがとうございました!』


パッとライトが消え、ステージが暗くなった。

同時にしぃんとしていた館内にざわめきが戻ってくる。


「ちぇっアンコール無しかぁ……にしてもナっちゃんカッコ良かったね~。男前っ」


違う。

違うんだシゲ。


「ナっちゃんてさ、すごい楽しそうに歌うよなぁ」


いつもはな。でも今日は違った。

顔も声もとびきりに笑っていただろうよ。

だけど、心だけは泣いていた。


「あんれ~?アッキと米澤ちゃん一緒だったん?」


ナツに奪われていた俺の思考は、シゲのセリフにより再び覚醒した。


「見当たらないと思ったら二人きりでどこ行ってたのさ~?」


振り向いた先の絵を見て、俺は以前進藤と交わした会話を思い出した。

加えて修学旅行中に知ってしまった米澤の本心。

さきほどのナツのトーク。
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