seasons.(シーズンズ)【完】
「なによ。ちっとも役に立たないんだから」


思い切り腕を振ってお守りを投げる。

フェンスを越え宙を舞ったそれは、リンと涼しげな音を残し、どこか遠くへ落ちていった。

先を行くハルの背中を追う。

そしたらあるものが視界の隅に入ってきて、思わず足を止めてしまった。


「……お疲れさま」


夏休みが明けた頃、彼と見たヒマワリの花は夕陽を見つめることもなく枯れていた。

まるであたし自身のように。
< 284 / 410 >

この作品をシェア

pagetop