seasons.(シーズンズ)【完】
泣いてなんかいない。

寧ろ、この時あたしは心の底から笑えていた。

やっと想いを届けることができたのだから。

結果なんて関係ないの。

自分の気持ちを素直に伝えられただけでも十分よ。


「……そういうことですか芳賀さん」


秋人くんの小さな呟きを知る由も無く、あたしは軽やかなステップで教室へ駆けていた。

今のあたしがいるのはあなたのおかげ。

あなたはあたしに光を与えてくれた、太陽みたいな存在だった。

でももう大丈夫。

あたしは強くなれたから。

あなたはこれから支えるべき彼女と幸せの道を歩んで行けばいい。


「今まで本当にありがとう。そしてさようなら」


あたしの初恋に終止符を打った朝は、かつてないほどに清々しかった。
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