seasons.(シーズンズ)【完】
気を取り直してシャープペンを握り直す。

カチカチと芯の長さを再調整していると、


「そ~いえば冬香ちゃんどこ高行くんだっけ~?」


加奈ちゃんが訊ねてきた。


「私は南高だよ」

「さっすが~。レベル高いね~」


確かに南高はこの辺ではわりと高レベルの学校ではあるけれど、上には上がいるし加奈ちゃんだって結構良いところ狙ってるんじゃなかったっけ。

私なんてさすがと言われるほどじゃないのに。


「アンタ推薦貰えそうなんでしょ?」


ペン回しをしながら訊いてくる夏枝ちゃん。


「そうだけど……夏枝ちゃんなんで知ってるの?」

「そりゃ夏枝ちゃんだからに決まってるじゃない」


理屈の無い答えに困惑する私を促すように、教科書を開く夏枝ちゃん。

気になるけど今更気にしたところでどうしようもないよね。


「ここの訳し方がイマイチ分からないのよ」

「えーと、これは……」


私は夏枝ちゃんに迷惑掛けてばかりだ。

いつになったらこの恩を返すことができるのだろう?
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