seasons.(シーズンズ)【完】
部活動が通常運行しているため、放課後に体育館を使用することは難しい。

ゆえに俺達は球技大会の練習をすべく町内のコミュニケーションセンターを訪れたのだが、あの時はナツと敵対している山崎のクラス一行に遭遇し、言うまでもなくくだらない争いをおっ始めた二人のせいで、途中からバスケがドッヂボールになり、とんだエキサイトを展開させていたところ、館員の人に叱られたという苦いオチがあったりするのだ。


「おっはよー!」


足音の存在を忘れつつあった俺に、計ったかのようなタイミングで奴はきた。

活気づいた挨拶とともに思いきり背中を叩かれ、両手をポケットに忍ばせていた俺はバランスを崩し転倒しそうになるも、なんとか堪える。

我らが芳賀夏枝様の登場だ。

手加減という言葉を知らないのかコイツは。

仮にも球技大会で戦力となる俺が、転んで怪我なんてしたらどう落とし前つけるつもりだったんだ。

しかし悪びれた様子をまるで感じさせないナツは、弾んだ声を発した。


「ねぇねぇこれ見てっ!」
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