seasons.(シーズンズ)【完】
こうしてナツが張り切っていることの発端は、数日前にさかのぼる。

教室のカレンダーが12月を記し始めたのと同時に、連中の話題はクリスマスで持ち切りとなっていた。

それもさすが子持ちと言うべきか、担任の宮ちゃんが一番待ち遠しそうにしているのだから、影響を受けてしまうのは分からないこともない。

おかげで早くも教室内は見事なクリスマスムードに装飾されていた。

赤と緑を基調にし折り紙で作られた輪っか。

誰かが家のお古だと言って持って来たらしい、てっぺんに光輝く星が乗ったツリー。

窓にはスノースプレーで色々な絵まで描かれている。

こんな空間で授業を受けれるなんて滅多にない機会なので、俺は満更でもなくクリスマス終了までこの雰囲気を味わうことにしていた。

考えてみるとナツはただ主催を担っているだけで、はしゃいでいるのはどいつも同じなわけだ。

周囲が便乗してきたお陰か、ナツはこの行事に普段の三割増しくらい力を入れているようだった。
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