seasons.(シーズンズ)【完】
半年ほど前まで現役で活躍していた選手に、引けをとらないくらいのプレーを見せつけてきたナツは、それはもう一目見て分かるほどご満悦な様子で、他チームの準決勝を観戦している。


「さて、決勝に上がってくるのはどっちのクラスかしらねぇ」


どっちだろうがコイツは負ける気なんてさらさら無いのだろう。

腕を組んで高みの見物も同然のナツの隣で、俺はドリンクを一飲みした。

……ていうかさっきから米澤の姿が見当たらないのだが、どこ行っちまったんだ?

トイレだろうか?


「そういえば冬香がいませんね。……調子でも悪かったのでしょうか?」


進藤に訊ねてみるも明確な回答は得られず。

お前もっと彼女のこと大切にしないとフラれるぞ。

尽くしてるようで抜かりあるのが進藤らしいのだが。


「あの子こういう騒がしいところ苦手っぽいしね。試合見ててほしかったけど仕方ないわ」


ナツも弁えたように苦笑した。

俺も同感だったので頷き返していると、


「芳賀さん?」


後方から女子の声。

振り返ってみるとそこには知らない顔があった。
< 303 / 410 >

この作品をシェア

pagetop