seasons.(シーズンズ)【完】
扉の向こうから聞えてくる耳障りな高笑いに奥歯を噛む。

急いで脱出を試みるも、つっかえ棒を差しているらしく重い扉はビクともしない。

やられた。数人がかりで一人を捕えるなんて外道だわ。


「開けなさいよ!やり方が汚すぎるわ!」


あたしの叫びも空しく、話声はだんだん遠ざかっていく。

途端怒りよりも悔しさが込み上げてきた。

あんな奴らの罠にまんまとハマって、しかもこのままじゃ試合にも間に合わなくて、みんなの期待を裏切ることになる。

こんな人通りの少ない場所で叫んでたって気付いてもらえる確率は極めて低い。

まして今は球技大会の最中で、生徒のほとんどは体育館か格技場にいるはずなのだから。

サボっている人がいたとしても、この寒いなかわざわざ外を徘徊するなんて、よっぽどの物好きじゃなきゃ有り得ないわ。

でも状況が状況なだけにその微かな可能性に賭けるしかない。

扉の隙間から僅かに差し込む光のスリットを見つめながら、自分の不甲斐なさに溜め息をつく。
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