seasons.(シーズンズ)【完】
警戒心を怠ったからこうなったんだわ。

自業自得だなんて言われたら心外だけど、100%あっちが悪いわけでもない。

あたしがちゃんと注意深く行動していれば、こんな罠にかかることもなかったのだから。


「さて、どうしたものかしらねぇ」

「……夏枝ちゃん?」


途方に暮れていると耳に届いた、もう何度だって聞いたあたしを呼ぶ声。

予期せぬ存在に振り向く。


「冬香!?」


並べられたハードルの影から顔を出したのは、行方不明になっていた冬香だった。


「アンタいつからいたの!?」

「えっと、今目が覚めたところなんだけど……ここ寒いね……」


冬香は目を擦りながらぶるっと体を震わす。

目が覚めたって今まで寝てたわけ?


「もしかして変な女達に……?」

「あ、うん。B組の女の子達にいきなり呼び出されて気を失わされたの」

「なんですって!?」


許さない。あたしだけならまだしも冬香まで巻き添えにするなんて。

どんな方法で気絶させられたのか分からないけど、怖い思いをしたでしょう。

アイツらあとで絶対シメる。

ここで悔んだって仕方無いわ。まずは脱出よ。
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