seasons.(シーズンズ)【完】
*冬香side


夏枝ちゃんとはメールを通して、ファーストフード店で待ち合わせることに決まっていた。

私が店に着いた頃にはとっくの前に来ていたらしく、二階のカウンター席にいた夏枝ちゃんは、空になったアイスのカップを三つも積み上げてテーブルに突っ伏していた。

もしかして寝ちゃってる?


「夏枝……ちゃん?」


少し距離をおいたところからおずおずと近寄り声を掛けると、夏枝ちゃんは勢いよく立ちあがってツカツカとあたしの方へ歩いてきた。

どうしよう、遅れたこと怒ってるんだ。


「お、遅れてごめ、」

「ほんっとーにごめん!」


慌ててしようとした謝罪を謝罪で遮った夏枝ちゃんが、突然土下座をしだしたから私はもう大混乱だ。

誰か来たらどうしよう!?

既に向こうにいるサラリーマンなんて、怪訝そうな眼差しでこちらを見ているし。


「ちょっと夏枝ちゃん何してるの!?顔を上げて!」

「アンタ推薦貰えなかったんでしょ?」

「へ?」


少しだけ顔を上げた夏枝ちゃんの言葉に驚く。

確かに球技大会の事件のせいで私は進学校への推薦を取り損ねちゃったけど……なんで知ってるんだろう?

夏枝ちゃんてなんでも知ってるなぁ。
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