seasons.(シーズンズ)【完】
「あたしのせいだわ!あたしが冬香を巻き込んだばかりに……」


夏枝ちゃんは自分を責めている。

私が推薦貰えなかったことを自分のせいだと思い込んでいるんだ。

それは間違いだよ。

あなたは悪くなんかない。


「気にしないで夏枝ちゃん」


私はしゃがみこんで夏枝ちゃんの手を取る。


「こんなことで落ち込むの夏枝ちゃんらしくないよ」

「だけど……」

「いいの。私いっぱい勉強して試験で実力を発揮してやるんだからっ」


とびきり明るく伝えると、夏枝ちゃんはようやく私の目を見てくれた。


「それに私だから推薦貰えない程度で済んだけど、夏枝ちゃんまでお説教されてたら進学校変更しなきゃいけなくなってたかもよ?」


私知ってるんだよ。

進学先のレベルにギリギリ到達してるような夏枝ちゃんが問題を起こしたら、即アウトになるってこと。

せっかく夏枝ちゃんが勉強を頑張って基準点に到達したのに、あんなくだらないことで駄目になっちゃうなんて私は嫌。

私を助けてくれた夏枝ちゃんが悲しむ姿なんて見たくない。
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