seasons.(シーズンズ)【完】
*春輝side


馬鹿騒ぎの疲労にうなだれながら帰宅すると、そこには思い掛けない人物がいた。


「おかえりィ~。こんな時間までどこ行ってたのよ」


陽気に出迎えてくれたのは厚化粧な母親の顔。

ただ、その隣にいる初見の面に俺は眉を集めた。


「この子?春輝君って」

「そ。ちょっと反抗期気味だけどね」


奇抜な格好をしたいかにもって感じの男。

歳は30代半ばくらいだろうか。

俺のことを挑発したような目で見ている。


「ほらハル、挨拶しなさい」


挨拶?一体何の?

こんな野郎にかける言葉なんてねーよ。

俺はぷいと顔を背けて部屋に直行した。


「なんだよー可愛くねぇなァ」


わざと乱暴に閉めたドア越しに、男の不満が聞こえてくる。

うっせーな、お前に可愛いなんて思われた方が迷惑なんだよ。


「うぜぇ……」


ボソリと吐き捨て、上着を放り投げたベッドにダイブする。

また変な男連れてきやがった。

こんなの今に始まったことじゃないけど。
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