seasons.(シーズンズ)【完】
俺はアイツに干渉されないし、接触の機会が少ないから、そもそも喧嘩なんてするとかしないとか以前の問題な気もするけどな。


「や、家出ってわけではないんですけど」


心配をかけるのも恐れ多い。

どう誤魔化して返答しようか密かに焦っていると、


「なんならウチに来るかい?」


とんでもない提案を持ち出されて、俺はますます焦った。


「いやいやいやいや悪いですよそんなん、俺思いっきり部外者じゃないですか!」

「部外者だなんてことないぞ。カミさんがまた張り切って余るほどご馳走作っちゃってな。おじさんは是非ともハル君に食べるのを手伝ってもらいたいんだ」

「いやでも……」

「それにハル君が来てくれればナツも喜ぶだろうからね」


ナツが喜ぶ……本当にそうなのだろうか?

俺なんかを必要としてくれている人がいるというのか?

だんまりになった俺の腕を掴んだおじさんが弾んだ声を上げる。


「決まりだ!行くぞハル君」
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