seasons.(シーズンズ)【完】
――運命。

君は自分が帰らぬ人となったことも運命だと片付けてしまいました。

運命は変えられると言うけど、その変えられるということ自体も定められていると考えたらキリがないですね。


「私のこと忘れないでほしい。でも私という鎖に縛られたままでいてほしくはない」

「僕を……恨んではいないのですか?」


君をこんな形にしてしまったのは僕だというのに。


「そんなわけないでしょ~。そうやってマイナス思考になるからあんな悪夢がましい夢なんて見るんだよ」


自己暗示にかかっていたということなのだろうか?

ネガティブに物事を捉えるとロクなことがない。


「忘れないで。私の本音は“大好きな人に幸せになってほしい”だからね」


ほなみはまるで言い聞かせるように僕の頭を撫でてきた。

いつもは僕が面倒を見る側だったからすごく違和感がある。

けれど伝わる母親のような温かみに涙線が完全に崩壊してしまい、大粒の涙が止め処なく零れてきた。

ああ、結局また泣いてしまった。
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