seasons.(シーズンズ)【完】
*春輝side 


近頃校内で三年生のフロアは張り詰めた空気が充満している。

それは受験当日がすぐそこまで迫っているからに他ならないわけで、もちろん俺もラストスパートをかけ死に物狂いで勉強していた。

一応志望校の合格ラインはクリアしているが、この時期念入りに勉強するに越したことはない。

例え悪足掻きになろうとも、残り数日の間でいかに努力できるかも勝負の内だ。

そんな緊張をほぐすかのようにやってきたバレンタイン。

俺はナツから義理を強調されてもらった、100円板チョコを二枚使用した星型のチョコをかじりながら下校していた。

これでも俺には特別に手作りをして奮発したようである。

手作りとは言うが、こんなの溶かして固めただけだろうに。

シゲがナツからもらった10円チョコに感動している姿を見て、幸せな奴だなぁと思いつつ、自分が贔屓されてることを理解した。

ちなみに進藤には、おばさんに教わって作ったと思われるブラウニーと生チョコをあげていた。
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