seasons.(シーズンズ)【完】
「アタシのババアも酷かったからねェ……育児放棄にもほどがあるっつーの。かと言って自分の子供に同じ思いさせたくないなんて考えるほど、お人よしじゃないのよアタシ。だいたいアンタはできちゃったから、仕方なく産んでここまで育ててあげたんだからね。仮にもアタシの遺伝子入ってるその体売り飛ばすなり、汗水流して寝なずに労働するなり、死ぬ気でやれば金なんていくらでも手に入るわ。金があればアンタみたいなガキでも生きていくことくらいできるじゃないの。心細いなら一人前になるまで優しい大人に可愛がってもらいなさいよ。ただしアタシはお断りだからね。二度と会うこともないでしょうから」


コイツは……なに、を……言っているんだ……ろう……。

もう言っていることが何もかも理解できなかった。

いや、したくなかった。

俺は現実から目を背けようとしていたんだ。

あまりにも驚愕的な展開に、足が震えてその場から身動きがとれない。

動けたところでどんな行動を起こせばいいかも分からなかったが。
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