seasons.(シーズンズ)【完】
「このアパートはくれてやるわ。管理人さんには適当に話しておくから」

「待てよ」

「あとはアンタの好きにしていいわ」

「待ってくれよ」

「それじゃ、せいぜい頑張りなさいよ」

「待ちやがれオイ!」


必死に呼び止める俺にソイツは告げた。


「バイバイ、春輝」


ガチャン、とドアの閉まる音が俺の世界を閉ざすかのようだった。

魂がもぎ取られたように呆然とその場に立ち尽くす。

わからない。

わからない。

わからない。

目の前も頭の中も、世界が全てが真っ暗になった――……。
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