seasons.(シーズンズ)【完】
*春輝side
アイツはもう二度と帰ってこない。
俺の知らない場所であの男と楽しく暮らすのだろう。
他人の心は左右できないのだから仕方がないのかもしれない。
アイツは実の子供と新しい夫の価値を比べ、どちらもなんていう贅沢な答えを出さなかったのだ。
それどころか実の子を選ばなかったのだ。
ただ、それだけ。それだけに過ぎないのだ。
これが現実だった。
「……かぁ……さん」
静まり返った部屋では、俺の呟きもやけに大きく聴こえる。
その虚しさに改めて実感させられた。
唯一血の繋がりのあった家族という存在に、俺は見放されてしまったということを。
情けないことにアイツが出て行ってしまってから、俺はその場にうずくまったままマトモに動けずにいた。
体に力が入らず、飯を食う気も眠気も、それ以前に今自分は空腹なのか眠いのかすら認識することもままならず、意識が朦朧としているせいか五感が鈍感になってきていて、暖房を入れてないこの部屋を寒いとすら感じられない状態だ。
その代わり、脳内ではぼんやりとアイツのことを考えて、無意識に涙を流していた。
アイツはもう二度と帰ってこない。
俺の知らない場所であの男と楽しく暮らすのだろう。
他人の心は左右できないのだから仕方がないのかもしれない。
アイツは実の子供と新しい夫の価値を比べ、どちらもなんていう贅沢な答えを出さなかったのだ。
それどころか実の子を選ばなかったのだ。
ただ、それだけ。それだけに過ぎないのだ。
これが現実だった。
「……かぁ……さん」
静まり返った部屋では、俺の呟きもやけに大きく聴こえる。
その虚しさに改めて実感させられた。
唯一血の繋がりのあった家族という存在に、俺は見放されてしまったということを。
情けないことにアイツが出て行ってしまってから、俺はその場にうずくまったままマトモに動けずにいた。
体に力が入らず、飯を食う気も眠気も、それ以前に今自分は空腹なのか眠いのかすら認識することもままならず、意識が朦朧としているせいか五感が鈍感になってきていて、暖房を入れてないこの部屋を寒いとすら感じられない状態だ。
その代わり、脳内ではぼんやりとアイツのことを考えて、無意識に涙を流していた。