seasons.(シーズンズ)【完】
*
ありのままを説明した俺の手を引いて、荷物そっちのけでアパートを飛び出したナツ。
降り積もる雪のもと、早足で連れて来られたのは同じ町内のとある一軒家。
以前一度だけ訪れたことのあるナツの家だった。
ナツは荒々しく靴を脱ぎ捨てて中へ足を進める。
腕を捕らわれたままの俺も慌てて靴を脱いで、強制的にあとに続いた。
リビングへ向かうと、偶然仕事が休みだったらしいおじさんがソファーに腰掛けて、新聞を読んでいる姿があった。
「おかえり。おや、ハル君もいらっしゃい」
おじさんはこちらを見てにこやかに俺を受け入れてくれた。
ぺこりと会釈して返す。
「おかえりなさい夏枝ちゃん。――あらハル君、久しぶりね」
今度は奥からパタパタとした足音が聞こえてきておばさんが出てきた。
夕飯の準備中だったのかエプロンを身に付けている。
「おじさん、おばさん!」
二人が揃うなり突然大きな声を発したナツは、
「高校生になったら一生懸命バイトするから、どうかハルをうちの家族にしてください!」
耳を疑うような要求を、真剣な表情で口にした。
ありのままを説明した俺の手を引いて、荷物そっちのけでアパートを飛び出したナツ。
降り積もる雪のもと、早足で連れて来られたのは同じ町内のとある一軒家。
以前一度だけ訪れたことのあるナツの家だった。
ナツは荒々しく靴を脱ぎ捨てて中へ足を進める。
腕を捕らわれたままの俺も慌てて靴を脱いで、強制的にあとに続いた。
リビングへ向かうと、偶然仕事が休みだったらしいおじさんがソファーに腰掛けて、新聞を読んでいる姿があった。
「おかえり。おや、ハル君もいらっしゃい」
おじさんはこちらを見てにこやかに俺を受け入れてくれた。
ぺこりと会釈して返す。
「おかえりなさい夏枝ちゃん。――あらハル君、久しぶりね」
今度は奥からパタパタとした足音が聞こえてきておばさんが出てきた。
夕飯の準備中だったのかエプロンを身に付けている。
「おじさん、おばさん!」
二人が揃うなり突然大きな声を発したナツは、
「高校生になったら一生懸命バイトするから、どうかハルをうちの家族にしてください!」
耳を疑うような要求を、真剣な表情で口にした。