seasons.(シーズンズ)【完】
頭を下げたナツの隣で、俺は同様を露にしてしまう。


「お前、何言って……!?」

「何って聞いての通りよ!アンタを弟にしてあげるって言ってんのよ!」


馬鹿かコイツは!?

常識的に考えてこういうことには順序ってのがある。

だいたい、並々ならぬ金銭的な負担だって生じてくる。

バイトをするからとかそういう問題じゃないんだよ。

こんな話突発に持ち出すものじゃないだろ。

それなのにどうしてだろうな。


「もちろん大歓迎よ」

「夏枝の隣の部屋が空いてたな。少し狭いかもしれないがそこでもいいかい?」


大真面目な顔のナツに、おじさんとおばさんが至って冷静に返答するのは。

微笑む二人を前にして、呆気にとられた俺はその場に突っ立っているだけだった。


「やったぁ!早速プチ引っ越ししないとね!あたし着替えてくるわ」


軽快な足取りで二階へ消えるナツ。

続いておじさんも部屋を片付けると言い、上へ行ってしまう。

……おかしいだろ、こんなの。

どうしてこんなトントン拍子で事が進むんだよ。

ナツはもちろん、おじさんもおばさんも正気なのか?

取り残された俺は状況を把握するのに苦しみつつあった。
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