seasons.(シーズンズ)【完】
なんて考えている間に、一度校舎に戻り階段を上って連れてこられたのは屋上だった。

花壇には今が頃合いの花が咲き誇っている。

風に乗って仄かに香る花の匂いが、安らぎを与えてくれた。

俺がフェンス越しに一望できる景色を見据えていると、


「はいっ」


突然背後からふわりと何かを頭に乗せられた。

手を添えた感触と鼻につく甘い匂いで分かる。

それは花壇の色鮮やかな花々で作られた輪だった。

いわゆる花冠というものだ。


「花壇の花ちょっとだけ貰って作っといたの。校長にバレたら怒られるから内緒ね」


人差し指を口元に置いて無邪気に笑うナツ。

おいおい、相変わらずやってくれるな。

半ば呆れていた俺だが、


「少し早いけど15歳の誕生日おめでとう。そして生まれてきてくれてありがとうハル」


その言葉に一時唖然とし、それからじわじわと涙が滲み出てきた。

悟られまいとその場にしゃがみ込むが、肩の震えが止まらない。


「え、どうしたのよハル!?」


驚いたナツは同じくしゃがんで、俺の顔を覗き込んでくる。
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