seasons.(シーズンズ)【完】
「お腹でも痛いの?」


ばかやろ。

そんなんじゃない。

そんなんじゃなくて……、


「嬉しかったんだ」


ただ素直にそう感じた。


「俺、生まれてきて良かったのかって不安だった」


母さんの自分への扱いを見てたら、俺って存在価値の無いいらない子なんだってつくづく感じてたんだ。

生まれてこなきゃ良かったのかなってさ。

挙句捨てられて、あの時はナツがいなかったら正直どうなっていたか……。

なかなか伝えられずにいたが、俺はお前にとても感謝しているんだぞ。


「生まれてきたことを祝福されたことなんてなかった。それでもナツ、お前は俺が生まれてきて良かったって思ってくれるのか?」


俺の問いにナツは一瞬キョトンとしてから、


「当たり前じゃない、何馬鹿なこと言ってるのよ。アンタに何度助けられたと思ってるの?あたしハルに出逢えてよかったわ」


にっこりと満面の笑みをたたえた。

その言葉そのままお前に返すよ。


「俺も、ナツに逢えて本当によかった……本当に」


この感情をどう表現すればいいか分からなくなるほど感謝している。
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