seasons.(シーズンズ)【完】
雪が降り、受験を控えながらもクリスマスパーティや初詣などで一段と盛り上がった冬。

おみくじの通り、俺の人生の転機が訪れたのはついこの間のことだった。

その時改めてナツという存在の大きさを実感したよ。

同い年なのに、ナツにはまるで母親のような優しい温もりがあった。

そうして芳賀家の一人として新しい生活を始めたことにより俺は救われたんだ。

今こうしていられるのはお前のおかげといっても過言ではない。

この一年間を振り返ってみると、つくづく色んなことがあったと思い知らされる。


「ほら男の子なんだからシャキっとしなさい!」


黙って思い出を駆け廻らせていると、ナツに肩を叩かれた。


「帰ったら卒業祝いもかねてハルの誕生パーティするんだから。おばさんのご馳走たんまり食べられるわよ!」


そうだよな。

せっかくみんなが祝福してくれてるってのに、こんな泣きべそかいてるなんて失礼だよな。

俺は涙を拭い立ち上がった。

ちょうどその時、


「夏枝ちゃん、長谷川くん!」

「やっぱり、ここにいたんですね」


お似合いカップルの登場だ。

どうやら俺らを探していたらしい。

早々に泣き止んでよかった。
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