seasons.(シーズンズ)【完】
後ろで加奈が何かぼやいていたけど、全く気にならないほどあたしの気は昂ぶっていた。

進藤秋人くん――色白の整った顔にシンプルなメガネがよく映え、まさしく秀才という単語が相応しい容姿。
加えて老若男女問わず人当たりが良い、いわゆる好少年。
ゆえに誰からも好かれ女子の中には隠れファンも多いとか。
そんな彼にライバル率が高いのは承知のうえで恋心を抱いているというわけだけど、あたしは黄色い声を上げているだけの他の女子とはわけが違う。
秋人くんを好きなのにはもっとちゃんとした理由があるのだ。


「夏枝~、早く教室行こ~」
「はーい」


だってあなたがいなかったら、今のあたしはいなかったかもしれないから。
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