seasons.(シーズンズ)【完】



心を弾ませて迎えた2月14日。

オレはそわそわしながら、いつでもチョコを受け取れるよう万全に構えていた。

朝の靴箱には入ってなかった。

となると手渡しか帰りの靴箱に期待だ。

そんな考察をしながら昼休み。


「あの~金沢くん。ちょっといいかな?」


加奈ちんからの不意打ちキタコレ!

俺は冷静を装いつつも、内心ランランルンルンで加奈ちんを追った。

加奈ちんは人通りの少ない廊下で足を止め、照れくさそうに口籠っている様子。

なんと可愛らしい仕草!

言わずとも後ろに隠し持ってるのはチョコですよね?


「これ……金沢くんに――」


差し出されたハートマークの袋に入ったチョコ。

ピンク色のリボンでラッピングされたそれを前に、オレは心の中でガッツポーズだ。

ほら見てみろ!キタぞ!オレの予想通りだ!

悪いなハル。アッキに続いて俺も一足先に行くぜ!
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