seasons.(シーズンズ)【完】
胸の内で涙を流しながらした助言も、


「だって緊張して倒れちゃったりしたらヤダもん」


聞けば聞くほど虚しくなる理由で流された。

一人で舞い上がって、しかも勘違いでピエロみたいなオレ、なんて恥ずかしい男なんだ!


「宮ちゃん妻子持ちだよ?」

「そこに惹かれるの~」


そうしてとびきりの笑顔で、可愛くラッピングされたチョコを押し付けてくる加奈ちん。

背徳の恋にご興味があるとは、なかなかマニアアックな好みの持ち主だったんですね……。


「あとこれも」


オマケのように差し出してきたのは、宮ちゃん宛ての物より一回り小さいチョコ。


「お礼のつもりで金沢くんにも」


おおおおおお!再びテンション上昇!

全オレが歓喜した。

さすが加奈ちん、男心を分かっていらっしゃる。

まぁ義理なのは確かだけど、それでもバレンタインに手作りチョコを貰えるのは男として名誉的なことだぜ。
< 408 / 410 >

この作品をシェア

pagetop