seasons.(シーズンズ)【完】
重い空気が辺りに充満するなか、短い沈黙を置いた凛ちゃんが口を開く。


「……何を?」
「とぼけないで。今の話、私のことなんでしょ?」
「なにそれ、証拠は?」
「……え?」
「今の話が冬香ちゃんのことだって証拠はあるの?」


何も言い返せない自分の弱さに歯痒くなる。
確かに今の会話を振り返っても、明確に私の名前を出していたわけじゃない。
だけどあの内容から推測するに私のことなのだ。
凛ちゃんが他の誰かと同じようなやり取りをしたとは考えられない。
幽霊って呼び方も私以外の誰かを指しているなんて聞いたことがない。
だからみんなが笑い者にしていたのは間違いなく私。


「冬香ちゃんのことじゃないよ。気にしないで」
「ううん、あれは私のことだよ」
「違うよ」
「違わないッ!」


自分でも驚いた。
私こんなに大きな声を出せたんだなって。
鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている凛ちゃんに一歩近づいて、私は声を張り上げる。
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