seasons.(シーズンズ)【完】
ああ、やだなぁ。
これで全部壊れちゃうんだ。
なんて言うけど、元々凛ちゃんにしてみればどれもこれも演技でしかなくて、私が彼女との友情を築き上げたと錯覚していただけなのだ。

自分で挑発しておいてこんな気持ちになるのズルいよね。自業自得なのに。

堰を切ったように怒鳴り続ける凛ちゃんを前に、自嘲的な笑みを零しそうになる。
ごめん凛ちゃん。私この憤怒と嫉妬と、それから悲愴が嵐のなかで湧き立つような思いの捌け口が欲しいんだ。
だから最後にちょっぴり仕返ししてもいいかな。


「アンタなんてネタになるかなと思って、アタシが代表して遊びで仲良くしてあげてただけなんだよっ!本気でアンタみたいな幽霊と友達になんかなるかっつーの!幽霊は幽霊らしく一人で――」


刹那、風船割ったような音が空間に反響した。
私は凛ちゃんの頬を平手打ちしていた。


「ったぁ……。ちょっと何するの!?」
「凛ちゃん、あなた最低だね」


凛ちゃんは頬を手で覆いながらキツい視線をよこしてくる。
にも関わらずこの時既に吹っ切れていたのか、私は思いの外冷静でいられた。
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