seasons.(シーズンズ)【完】
凛ちゃんの大きな双眸に映った自分は、酷く冷淡な顔をしている。
どうしてこんな仕打ちを受けることになっちゃったのかな。
凛ちゃんのこと、信じてたのに。
私がいつどこで何をしたっていうの?
神様の気に触れるようなことをしましたか?


「最低なのはどっちだよ!ビンタするとかあり得ない!」
「凛大丈夫?」
「マジウザいし。さっさと帰れよ!」


浴びせられる罵声を背に、習字セットを手に駆け出す。
涙を堪えたまま校門を飛び出して、人通りの少ない路地に入ってから足を止めて、その場でしばらく静かに泣いた。

こうしてたまゆらの幸せは呆気なく寿命を迎えてしまい、私はまた一人ぼっちになった。
けれど、よく考えたら大したことじゃなかったのだ。
だってこんなの、ただ以前の生活に戻っただけに過ぎないのだから。

凛ちゃんと仲良くする前と比べて変わったことと言えば、イジメの度合いが少しばかり悪化したことと、幽霊女に加えて暴力女というレッテルまで貼られたことくらい。
幸せは長く続かないと言うけれど、これまで薄暗い底辺を這いつくばっていた私に、やっと神様が味方してくれたんだって思ってたのが甘かったのかな?

やっぱり神様は私に微笑んでなんかくれない。
信じても裏切られる日がくるのなら、私は一人でも構わない。
もう誰も信じられない。

友達なんて……――いらない。
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