seasons.(シーズンズ)【完】



三年D組の教室へ足を進めている最中、加奈が思い出したように口を開いた。


「そ~いやD組に知らない名前があったんだよね~。“長谷川春輝(はせがわはるき)”だったかな?加奈同学年の生徒はフルネームで把握してるつもりだから、多分転入生だね」


……転入生ねぇ。
一年しか一緒に過ごせないし、男子ならあまり深い付き合いにはならないだろうけど。


「カッコイイといいよね~」
「別に。あたしは秋人くんさえいれば十分だわ」
「相変わらず一途だな~。ま、加奈もできる限りのこと協力するよ~」
「ありがと」


そうこうしているうちにD組の教室の前に着いていて、半開きのドアをスライドさせて中に入れば、既に集まっていた生徒達が様々な話題で盛り上がっていた。
視線を動かすと一際目立つ大きな輪の中に、泣く子も笑う優しげな笑みを浮かべた秋人くんが。
周りには当然の如くたくさんの人だかり。
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