seasons.(シーズンズ)【完】
「冬香はそれがキッカケで友達を作ることを恐れているんじゃないかしら?」
「お~、なるほど」
「トラウマみたいなやつか」
「ナッちゃん冴えてるねぃっ」


そこ、褒めても何も出ないわよ。
そうあしらわれた金沢が「なんと手厳しい。この哀れな狼に微々たる愛すら恵んでくださらないというのですか?」なんて突拍子もない小芝居を始め出したから、それは軽くスルーするとして。
ようやく風向きが良好になってきたことに、ますます意欲が駆り立てられる。


「その仲良くしていた子って誰か分かるかしら?」
「は、はい。この学校にいますよ」
「ほんと!?これはあたしのターンがきたわね!で、それは誰なの?」」
「えぇと、クラス替えしたばかりだから今どのクラスかは分かりませんけど、山崎凛ちゃんって子です」
「ぅええっ、リンリンのことぉぉぉお!?」


金沢がどこから出したと突っ込まずにはいられない、裏返った奇声を上げた。
リンリンと聞いてまず連想したのは白黒模様が愛らしいパンダ。
同じことを考えていたのか、隣にいるハルも呟くような小声で「パンダか……?」と首を傾げていた。
そんなわけないのは分かってるけど、ハルがあたしと似た思考を持っていたことに親近感を抱いてしまう。
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