seasons.(シーズンズ)【完】
*秋人side


ゆっくりと流れゆく雲を仰ぎながら腰を下ろす。
現在僕のいる場所は、青春のベストプレイスとも呼べる屋上だ。

東雲中学校の屋上は今時珍しく生徒が自由に立ち入れるように開放されていて、台風や大雪などよっぽどなことがない限り閉鎖されない。
もちろんこれには理由がある。
歴代の校長が超が付くほどの植物マニアで、屋上にて菜園を始めたことがキッカケだそうだ。
物足りなさを感じて色取り取りの花を植えてみると案外しっくりきたらしく、以降野菜よりも花の割合が増えていったとか。
その植物の素晴らしさを生徒達にも理解してほしい、と校長の一声で今や植物管理委員会までできてしまうくらい。

長くなってしまったけれど、そういうわけで屋上は常に開放されているわけだ。


「それにしても、さすがにビックリしましたね」


先程の米澤さんには参りました。
幻でも見ているんじゃないかと自らの視力を疑いましたよ。
ドッペルゲンガーの存在を認めてしまいたくなりましたし。
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