seasons.(シーズンズ)【完】
「……ほなみ、君に似ている女の子が現れたんです」


青と白で構成された空を見上げて問い掛ける。


「これは君が与えた試練なのですか?」


だとしたら、僕は――……。


「マジだりぃわ」


ガチャンと扉が開く金属音と共に、話し声が聞こえてきた。
僕はドアの方に視線を移す。


「パン食いてぇな。誰かコンビニ行ってきてくんね?」
「つかそのまま帰りてーし」
「けど六時間目体育だもんな~。俺体育はマジ出たいし」
「分かる。あの熱血の授業だけは楽しいよな」


この声は例の不良組ですね。
また性懲りもなく悪事を働こうとしているようですが。


「お、進藤じゃん。お前もサボりかよ?」
「優等生がご苦労なこった」
「ほらほら、ガリ勉君はさっさと教室戻んなー」


すれ違い際、ヘラヘラと絡んでくる組一同。
その中には不貞腐れた面持ちの涼人(すずと)の姿もあった。


「……よぉ」
「こんにちは」
「いつ見ても気に障るツラだなオイ」


それを言うなら涼人は相変わらずイガグリのように尖ってますね。
なんて、きっと偉く憤慨するでしょうから口が裂けても言いませんけど。
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