seasons.(シーズンズ)【完】
「あー、また縛り直さなきゃじゃないの!」
「ははは、なんならおじさんが結ってやろうか?」
「お断りしまーす。おじさん下手だもん」
「大事なのは形どうこうではなく気持ちだぞ」
「もう、あなたったら何言ってるのよ」


顔を見合わせて笑う三人を横目に俺は、あー家族ってこんなもんなんだなと心の隅で実感した。
ふと進藤を一瞥すると偶然目が合い、


「羨ましいですね」


どこか哀愁を帯びた笑みを投げ掛けられた。


「ああ」


羨ましい。まったくもって同感だ。

それからというもの米澤と木村が来る前に図々しくもシゲが乱入してきて、一層盛り上がったところで女子二人が遅れて加入。
割勘購入した屋台のわたあめを六等分したものの物足りなさに不満を漏らす暇もなく、最終的にはナツに連れられ半ば強制的に二人三脚の練習へ。
そろそろマンネリズムに陥った練習法にもうウンザリだと嘆き始めた頃、タイミングよく昼休み終了のアナウンスが校庭に響き渡った。
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