seasons.(シーズンズ)【完】
「きたわよ!」
「マジか」


二クラスの差はほんの数メートルの状態で、バトンが俺達へ渡った。
すぐ前では先程の女と陸上部部長さんとやらが、意気ピッタリという動きで走っている。
俺とナツも阿吽の呼吸で繋がった足を前へ前へ懸命に動かした。

風の音にまぎれて声援が聞こえてくるが、構っていられないほど必死になってひたすら走る。
コースはカーブに差し掛かり残るは直進だけ。
ナツもここで抜かすしかないと悟ったらしい。急に加速しだした。
ゴールまであと少し。二組の距離もあと少し。

頼む、あと少しなんだ。
もし神様がいるのなら聞いてくれ。
なんやかんやで引き受けたうえ、精一杯頑張ったつーのに結局負けちまったらナツに咎められるのは他でもない俺なんだぜ。
哀れな話だと思わねーかな?思うだろ?
だったら――、
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