seasons.(シーズンズ)【完】



そんなこんなで優勝旗を掲げたD組一行は、打ち上げで花火をすべく一時解散したのち、日が落ちる時間帯に町内の穴場スポットへ足を運んでいた。
それなりに高さのある芝の山や、向こうには球場もあるこの場所は、町内でも外れに位置するので、住宅地から少しだけ離れている。
遠慮なくハメを外せる条件が整っていたため、金沢はもちろんのこと日頃大人しい奴らまで騒ぎ放題だ。
どいつもこいつも、体育祭でのテンションは落ちるどころか寧ろヒートアップさせている。
そりゃ優勝ともなれば騒ぎたくもなるわな。


「それではD組の優勝を祝って、かんぱァァい!」


宮ちゃんの掛け声で乾杯。
未成年だからもちろんジュースで。


「いやー最後のハルかっこよかったよん!オレ惚れちゃいそうだったし」


がしっと肩を組んでメロンソーダを差し出してくるシゲ。
酔っ払いの親父みたいだ。


「一人一本じゃねーのか?」
「なんか余ってたから、頑張ったハルにご褒美ってことで」


あんなハードな特訓に耐えた日々を代償するには安い褒美だな、なんてせっかくのご厚意を前に言えるはずもなく、俺はメロンソーダを受け取った。
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