君と夢見るエクスプレス
私が会議室に戻って程なく会議は終了した。姫野さんがコピーを指示した資料を参加者に配布して、もう一度目を通しておいてくださいということで。後日、再度議論しようということに。
姫野さんと一緒に会議室の後片付けをしていると、笠子主任がやって来た。ちらりと私を見て微笑んで、姫野さんへと向かっていく。
「姫野君、お疲れ様。今日の会議は終わった?」
「はい、少し長引きましたが。なかなか手強いですね」
あれだけ熱く語っていたのに、姫野さんは何ともなかった様子で、さらっと答える。切り替えの早さが、姫野さんらしい。
「今日の予定は? 議事録作成だけ?」
「そうですね、あと少しだけ次の会議の資料を作っておこうかと思っているんですが……」
「次の会議はいつ?」
「来週の火曜日です」
「だったら資料作成は週明けにして、今日は早く帰ったら? 毎日遅いだろう?」
「はい……、ですが議事録は今日のうちに作成して、各部へ配信しておかないと……」
納得できない風な姫野さんの返事。
思うところがあるのだけど、もやもやと隠している感じがする。