君と夢見るエクスプレス
私の答えは、既に決まってるつもり。
妨げているのは、変なプライド。
そのつもりになってるのが、私だけだったら恥ずかしい。
彼は、本当に私のことを?
「私は姫野さんを推すけどなあ……、彼って中途入社でしょ? 姫野さんの方が年上で勤続年数長いし」
悩む私に現実的な助言をくれるのは、本当にありがたい。
だけど、ごめんね。
私が悩んでいるのは、そんなことじゃない。
「安定してるのは姫野さんだけど、私は橘さんの方が好きだな」
つい、ぽろりと零れた言葉。
聴いている美波よりも自分の方がよほど驚いてしまって、あとの言葉が続かない。
自分から好きなんて、言っちゃったらダメじゃない。
「好きって、本気?」
美波が真顔で問い掛ける。
いやいや、そんな顔されると余計に緊張してしまうんですが。
「そういう意味じゃなくて、好きっていうか、どちらかというと……だよ」
「だよね……、なんか軽そうだったし、陽香里のタイプではなさそうだもん」
「そうかな……」
笑って返してたけど、たぶんさっきの言葉が本音。
きっと私は、橘さんが好きなんだと思う。