君と夢見るエクスプレス
朝礼に続き、会議室に移動して企画開発室のプロジェクトメンバーでのミーティング。
阪井室長と笠子主任、それに彼もいるけれど昨日のことには一切触れない。ホテルで会っていたのは仕事ではなかったのか。
疑わしい気持ちを抱えつつ、今日の段取りを確認する。
時おり彼の視線を感じるけど、一切無視。目を合わせるものかと必要以上に意地になってくる。
「今日はひとつ提案しようと思っています、茜口から開発地へのアクセスについて……」
姫野さんが、昨日話した提案を説明し始めた。提案したのが私とは言わないけど、なんだか照れ臭い。
阪井室長と笠子主任が顔を見合わせた。
「その案を今日の会議でも提案してもらえるかな、前向きに検討しよう」
力強い阪井室長の声に、自信が満ちてくる。
今までは会議に出席しても、ただ聞いているだけ。発言する機会なんてなかったし、何かを考えようということもしなかったのに。
私の思いついたことが、ほんの少しだけでも織り込まれる可能性が出てきた。
私自身がこれから創られるものの、一部になるような不思議な気持ち。
だけど、妙にドキドキする。