君と夢見るエクスプレス
提案は他部門の関係者との会議で発表され、皆の反応もまずまず。具体的な商業施設の検討へと、計画を進めていくことになった。
「松浦さん、よかったよ。上手く行きそうだ」
姫野さんも喜んでくれて。
昨日の出来事も気にすることもなく、気まずい空気になることもなく。
むしろ気分は悪くなく、清々しく感じられるほど。
あとひとつ、気掛かりを残すのみ。
会議中、姫野さんと橘さんの討論がヒートアップしていく。こちらを見ていないのをいいことに、メモを取りながら彼を覗き見る。
凛とした姿勢、熱く語る口調、吸い込まれそうなほど輝く瞳から危うく目を離せなくなる。
嘘つき。
心の中で呟いたら、いきなり振り向くから驚いた。すぐに顔を伏せたけど、気づいたりしていないだろうか。
プロジェクトの流れが、商業施設へと絞り込まれてきている。私の提案がきっかけではなく、先週辺りから方向性は決まりつつあった。
流れが変わったのか、私が流れを捉えることができるようにようになったのか。
今まで流れに乗ることもできず、漂うこともできなかったけど、私も浮かぶことができるかもしれない。
私も、この流れに乗りたい。