君と夢見るエクスプレス

急いで彼の元へ。



あと数歩というところで、堪えきれず彼に飛びついた。抱き留めてくれる彼の腕に、満ちてくる安心感。



「陽香里、ごめん。迷惑かけて」
「うん、橘さんも大丈夫?」
「大丈夫、ありがとう」



声とともに響いてくる心地よい振動。
ずっと感じていたい。



笠子主任から聞いたことを打ち明けることよりも、どうして彼が制服を着ているのか。そちらの方が気になる。



「橘さん、どうして制服なの?」



つい我慢できなくて疑問を口にしたら、彼がくすりと笑う。



「今から泊まり勤務なんだ、その前に少しだけ会いたくて」
「待っててくれたの?」
「うん、待ってた」



と言うなり、彼は私の顎に手をかけた。



ぐいっと持ち上げて、唇を重ねてしまう。少し強引だと感じられるほどに、蕩けそうになる。



いけない、ここは公道だよ?



そんな焦りなど伝わるはずもなく、彼は私を抱き締める。歩道を歩く人の足音にドキドキしながらも、嬉しくて嬉しくて。



このまま離さないでほしい。



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