君と夢見るエクスプレス
お昼休みの休憩室。
覚悟を決めて、席に着く。
お弁当を開いて、どれから食べようかと箸を握り締めた。今日のメインは、豚の生姜焼き。あまり好きじゃないけど、副菜のひじき煮は好き。
「さて、陽香里。話って何かな?」
美波の呼びかけに箸が止まる。
咳払いして、息を吸い込んで、
「うん、橘さんのこと。やっぱり好きなの」
と言い切った。
『好き』という言葉を声に出すのは照れくさいのに、スッキリする感覚。それとなんとも言えない達成感に似た気持ち。
「ついに認めたんだ、おめでとう」
ちょうど私が思っていたこと。そのままズバリ美波に言われて、尚更に照れくさくなる。
本当に、やっと認めることができたんだから。橘さんが好きだという自分の気持ちに。
「ありがとう、美波はどうなの?」
「ん? ああ、私?」
美波が目を逸らす。
お弁当に視線を落として箸を泳がせて、同時に目も泳がせてる。恥ずかしそうに噤んだ口元を注視した。
「早く、私も言ったでしょ?」
ほら、早く話してよ。
念を込めて、顔を覗き込む。