君と夢見るエクスプレス

「そういえば、図書館があったらいいなあって兄嫁が話してたよ。子供向けのスペースを広く設けてくれたら、一日中遊ばせたいって」



美波には、年の離れたお兄さんがいる。子供が二人、どちらも男の子だそうだ。上の子が来年小学生になるという。



この年でもう叔母さんだと嘆いていたけど、意地でも叔母さんでも呼ばせないと甥っ子たちには『みなちゃん』と呼ばせているらしい。



私だって、まだ『おばさん』とは呼ばれたくない。美波の気持ちは、わかる気がする。



私には田舎に二歳下の妹がひとり。
まだ結婚していないし、彼氏もいない。
彼氏がいないのは私と同じ。



だけど妹は彼氏よりも、今は仕事が楽しいのだと言う。仕事が楽しいという点では、私と違う。



美波も、妹と同じ。
好きな仕事に就くことができたから。



私は、いつになったら楽しいと思えるようになるのかな。



こうして時々、美波が助言をくれるのは私のため。本意ではない部署での仕事だと知っているから、前向きになれるようにと気遣ってくれる。



本当に、嬉しい。
自分が恥ずかしくなるほど。



頑張らなくては、と思わずにはいられない。



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