君と夢見るエクスプレス

「ビジネス客だけじゃなく観光客も取り戻すのがホテルの狙いだ、俺達の使命でもあるけどな」
「それは、かなり難問ですね」
「難しいからこそ楽しいんだよ、そっちの道路沿いから南側は、最近開発が進んでる」



姫野さんが指差した先には交差点。交差点の角に建つ大型家電量販店の放つイメージカラーが、これまで単調だった景色に急に色を添えて眩しいほど。



建て物の横には不必要と思えるほど広大な駐車場がある。と思ったら、駐車場の向こう側にはファミリーレストランと回転寿司屋が軒を連ねている。



「ここだけ、違う街みたいですね」
「郊外みたいだろ? 駅から遠くはないけど、港近くに拓ける住宅地からのアクセスを考えているんだ」



さらに駐車場の奥にも更地が見える。駐車場を拡張するという様子でもなく、あの場所に何か建て物を建てるんじゃないかといった感じ。



「まだ、他にも何か建ちそうな雰囲気ですね」
「建つだろうな、何が建つか当ててみる?」
「え、そんなのわかりませんよ。スーパーかな?」
「だろうな、スーパーか……」



交差点を渡り終えた姫野さんが、足を止めた。


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