君と夢見るエクスプレス
広大な駐車場を眺めて、考え込んでいる様子。姫野さんの視線を追って、私も同じように眺めるしかない。姫野さんが考えを終えるまで。
「いいよ、また考えることにしよう。そこで、お昼食べようか」
「あ、はい」
腕時計へと視線を落とした頭上で、姫野さんがくすっと笑う。
「まだ早いけど、十四時からの会議に間に合わないと困るから」
と言って、促すように歩き出す。
なんだか私が『まだお昼には早い』と言いたいのが伝わってしまったみたいで恥ずかしい。
でも、まだ仕事らしいことは何にもしていないのに……という気持ちは拭えない。
ファミリーレストランと回転寿司屋さんの真ん中で立ち止まり、姫野さんが振り向いた。
「どっちにする? 何が食べたい?」
私はどちらでも大丈夫。
でも白黒はっきりしたい性格の姫野さんのことだから、どちらか答えないと……と勝手に焦ってしまう。
「姫野さんは? どちらが食べたいとか、ありませんか?」
「そうだなあ、じゃあ回転寿司にしよう。松浦さんはいい? 生ものは大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
私の答えを聞いた姫野さんは、満足そうな顔で頷いて店へと入っていく。