君と夢見るエクスプレス
ああ、やっぱり。
単なる私の自意識過剰だったのかもしれない。
「すみませんでした」
「謝らなくてもいいから……、とりあえず松浦さんは気をつけてほしい。いい?」
「はい、わかりました」
核心に近づいた予感を確かめようかと迷っているうちに、本題に戻されてしまう。
今はもう、確かめようとするのはやめよう。これ以上、話が変な方向に進んでしまったら困る。
とりあえず、触らぬ神に祟りなしということで。
お茶を啜って、息を吐いた。
視線を感じて顔を上げたら、入り口付近にたむろしているお客さんが店内を見回している。全然知っている人ではないけれど、多少苛立っている様子。
いつの間にか、店内はお客さんで溢れ返っている。
姫野さんが腕時計を確認する。
「そろそろ行こうか、お腹はいっぱいになった?」
「はい、もう十分です」
「よかった」
と言って、会計ボタンを押した。
よく見ると、テーブルに積み上げた空のお皿は姫野さんよりも私の方が高かった。