君と夢見るエクスプレス

結局、お昼ご飯は姫野さんにご馳走してもらった。強引さに負けて……というのは単なる言い訳かもしれないけど。



回転寿司屋さんを出ると、幹線道路の向かい側にも緑色のフェンスが連なっているのが見える。駅から結構歩いたように思うのに、こんなところにまで。



こうして見ると、開発地の広さを改めて実感させられる。



「この道路から、出入りができたら便利ですね」
「そうだな、駅前とこちら側と出入り口があれば……だな、何がいいだろうなあ」



フェンスへと視線を飛ばす姫野さんに向かって、つい『ビオトープ』と言ってしまいそうになる。でも駅前にも少しぐらいのんびりできるような、癒しのスペースがあってもいいと思ったから。



「敷地が広いから、ゆったりとできる場所が少しぐらいあるといいですね」
「ゆったりと……、そうだな、限られた年代だけでなく、どの年代の人にも受け入れられるものでなければね」



姫野さんは声を弾ませて、交差点を渡っていく。



なんとなくでも肯定的に返してくれたことが嬉しい。だけど、具体的に何かと問われると答えられない。考えを巡らせながら歩くうちに、自然と無口になっていく。




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